
『おもいでのクリスマスツリー』
グロリア・ヒューストン文 バーバラ・クーニー絵
吉田新一訳
いいお話が苦手だった。
ので、この絵本の美しさを正面から讃えられずにいたのです。
ところが、妊娠したためか、とがった20代を終えたためか、
気がつくと、難なくこの絵本すてきなのよ!と言えるように
なっていました。
時は第一次世界大戦末期。アパラチア山脈の奥にある小さな村で
語り継がれてきたお話です。
村の教会に立てるクリスマスツリーを、
今年はルーシーの家が選ぶことになりました。
ツリーを用意した家の子は、クリスマス劇の天使の役を
もらうことができるという特別な年ですが、
お父さんが戦争に連れてゆかれ、ツリーや天使の衣装を
用意することが難しくなってしまいます。
さて、お母さんとルーシーはどのようにピンチを乗り越えたでしょうか。。。
エピソードの美しさだけでなく、実際に当時の暮らしを取材して
描いたというバーバラ・クーニーの絵がまたすばらしい。
当時の人々の息づかいや暮らしの様子が、ありありと伝わってきます。
のどかな風景の中に溶け込んだ木のおうちはモスグリーンに塗られ、
デッキにお父さんとルーシーの椅子が置いてあったり、
家の中にお父さんとお母さんの結婚式の写真が飾ってあったり、
さりげない部分にクーニーの生活に対する価値観を感じます。
さっぱりした語り口と画面でありながら、
家族の絆の強さと温かさをしみじみと味わうことのできる一冊です。
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『バーバ・ヤガー』
アーネスト・スモール文 ブレア・レント絵
こだまともこ訳
クリスマスものではありませんが、冬にぴったりのお話をもうひとつ。
こちらはいい子じゃない子のお話。
いい子じゃない子、けっこう好きです。
断然魅力的。
カブを探して森を歩いていたマルーシャは、
森の魔女バーバ・ヤガーにつかまってしまいました。
バーバ・ヤガーは、おいしい「わるい子」のにおいを嗅ぎ付けて
やってきたのですが、マルーシャは自分がいい子だと
主張して、なんとかシチューの具になることを免れます。
お手伝いをしながら過ごすバーバ・ヤガーの家には暖炉があり、
薬の材料にする薬草棚があり、コーヒーをわかすサモワールがあり、
小さいながらとても楽しそう。
しかも、木で出来たおうちには鳥の足がついていて、
移動することもできるんです!
ほれぼれするようなおうちを、ブレア・レントのセンス溢れる
版画で楽しめます。
どちらも少し文章量が多いのですが、
寒い冬、寝る前のお楽しみとして、
お子さんに少しずつ読んであげるのにぴったりです。
また、絵が美しいので大人へ贈り物にもどうぞ。